アルコール依存症者への支援の充実について

藤井しんすけ質疑

質疑を行う藤井しんすけ

 アルコール依存症は適切な治療と支援で回復が十分に可能な病気である一方、治療を行う医療機関が少ないなど、依存者が必要な治療を受けられないという現状がある。
 6月1日に施行されたアルコール健康障害対策基本法は、アルコール依存症や多量の飲酒などの不適切な飲酒の影響による心身の障害をアルコール健康障害と定義し、飲酒によって起きる問題解決のための施策と必要な配慮がなされることを基本理念としている。県も国の計画を基本として実情に即したアルコール健康障害対策の推進に関する計画の策定に努めることとされている。

 そこで、アルコール健康障害対策の中でも、特に、アルコール依存症に対する取組は非常に重要なものと考えるが、本県におけるアルコール依存症に対するこれまでの取組と、アルコール健康障害対策基本法が施行されたことを踏まえ、今後の取組についてどのように考えているのか伺いたい。

知事答弁

答弁を行う黒岩知事

大量の飲酒を長期間続けることで、時間や場所を選ばずに、どうしてもお酒が飲みたくなるといった状態になり、アルコールが抜けると、震え、吐き気、不眠などの症状が現れるのが「アルコール依存症」です。
 そして、更に症状が進むと、幻覚や内臓疾患など心身に深刻なダメージを与えるとともに、職場や家庭でのトラブルによって、失業や家庭崩壊といった取り返しのつかない事態が生じる懸念もあります。
 そこで県は、「かながわ健康プラン21」に過度な飲酒をしている人を減らす目標を掲げ、アルコール依存症の未然防止と発症後の適切な治療やサポートなどに取り組んできました。
 具体的には、精神保健福祉センターや保健福祉事務所において、アルコールの正しい知識に関する研修会の開催やリーフレットの配布、アルコール依存症に対する相談に対応しています。
 また、県立病院機構精神医療センターで専門医療を提供するとともに、断酒を行っている方に対し、県断酒連合会を通じてサポートしています。
 アルコール依存症は、早期に治療すれば早い回復が期待できるため、今後は、研修会や相談事業を一層周知し、未然防止と早期の治療に繋げていきます。
 また、国は、地域における依存症患者やその家族への専門的な相談支援などを行う依存症拠点病院を全国で5ヶ所程度指定する方針を示しました。そこで、今年度中に精神医療センターが指定されるよう取り組んでいきます。
 さらに、本年12月に再編統合する精神医療センターにおいて、アルコール依存症患者の急性期から退院に至るまで、一貫した対応ができる専門医療を提供していきます。
 こうした取組を早急に進めるとともに、アルコール健康障害対策基本法に基づき、今後、国が対策推進基本計画を策定することを受けて、県も計画を整備し、アルコール依存症をはじめとして、総合的に対策を進めてまいります。

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